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真実は一つじゃないので

こんにちは孔です。
ブログでしかご覧になっておられない方のために改めて自己紹介をば。
三河武士をネタに遊んでいるサイト「三河武士にあいたい」をたちあげてはや10年近くになります(そのわりに一部の三河武士のことしか良く知らない)。

さて。

こうしたサイトやブログを続けていると、武将に関する記述について色々なご意見をいただきます。
一応手持ちの本で調べたことや自分で史跡を尋ね歩いて仕入れたネタをもとに書いているのですが、中にはこちらの思い込みで書いていた部分もあり、そういった時には御指摘下さった方に素直に謝って訂正します。



その中にときどき
「お前の話は武将ゆかりの●●の寺で聞いた話と違う」
と仰る方がおられます。

この「武将ゆかりの寺社の方のお話」というものがけっこう微妙でして…


たしかに、住職や宮司さんの中には大変勉強熱心な方も多くて、ご自分で熱心にその寺社の歴史をお調べになったり、講演会などにも足しげく通って知識を仕入れ、それを我々観光客に大変熱心にお話しくださる素晴らしい方もおられます。



中には、先代、先々代から受け継いだ伝承を特に検証されることもなく、そのまま観光客にお話しされる方もおられます。

これ自体は悪いことではないのです。

別に聖職者は学者さんではありませんし、お寺や神社に来る方にそのお寺にまつわる史跡に関する話を面白おかしく語って聞かせ、お客を喜ばせればそれでいいのです。
それに伝承は伝承でそれなりの真実が含まれている場合もありますし、その寺社ゆかりの武将への庶民の夢や願望を表しているものもあるので、それをお話しいただけるのは大変ありがたいことなのです。

個人的には伝承話大好きです。


ただ、それを真実として受ける方もいるというのが問題で。
「お前がネットで書いていることとお寺の人がいう話とどっちが本当か」と言われるのが問題で。

そうしますと
「私の読んだ本は一応学者さんが文献などの記述をもとに書いたものなんで、一般的にはこちらの説がメジャーなんでしょうけど、お寺の方のお話も本当かも知れませんね。」
としか言いようがないのです。

学者レベルでならまだしも、一般の歴史好きにはどっちでもいい、はっきり言って400年前のことなんか素人が調べようがないじゃろというものが歴史には多いです。

以前ツイッターをやっていた時に、本で知った武将の話なんかを流したりしていたのですが、
「真実は一つであるのが当然で、自分が今まで信じていた逸話がじつはあやしい話、学問的に裏付けられていない話だと分かると、だまされたと怒ってもう見向きもしない」
という方をときどき見かけました。
べつにだましてるんじゃなくて、こういう話も伝わっているよ、と言っているだけなのですが(出典を明かしているだけ良心的だと思うんだけどなあ)。

「本当かうそか分からない」グレーゾーンを楽しむ余裕も必要じゃないかなあ、と歴史好きの若い人を見て思います。



とはいえ…

伝承はもう検証のしようがないので仕方がないのですが、中には明らかに間違ったことを仰る寺社の方もいまして。

私自身、以前有名な寺社の方から、ある建築の装飾について
「これはこの寺(神社)の屋根にしかついてない、大変貴重なものです」
とご説明していただき、
「そうなんだ」
と思っていたのが、その後他の寺社でも同じような装飾を見かけた(しかも同じ市内にある寺社にあった)、という経験もあります。

ちなみにその「装飾」はその寺社発行のパンフレットにも堂々と「これはうちにしかないものです!」と書いてあったりする…。
活字になると「きっとそれなりの学者さんの考証が入っているんだろう」と、普通の人は思いこみますよね。


まあ、いずれにしても、あまり真実はなんだ事実はどうだときしきしすることなく、人の話も歴史の話も嘘を楽しむ余裕を持つくらいで考えた方がよいのではないでしょうかね。

ただ、言い伝えを語る時には一言「これは伝承ですが」とか、「ちゃんと調べたことはないのですが」とか、一言前置きしてくださった方が親切ではありますね。
私も含め、世の中素直な人が多いので。
by mikabushi | 2014-01-14 12:12 | 日記